農業じゃなくなったデザイン

どうも!二進デザイン担当の澤井です。

僕の連載では、ゆる~く、ふわーっと、最近のデザイン現場や業界、

そしてマーケットについて個人的に思うことや感じたことを、ただつらつら書いていきます。

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昨日の午前中に打ち合せに行ったときにひょんと出た、キーワード「クラウドソーシング」。


既に日本でもかなり浸透してきている、

仕事受発注を目的としたオンラインマーケット・サービスですね。


デザインを仕事のひとつとしている僕たちにとっても、避けては通れない流れのひとつです。

「インターネットで探したら、ロゴ3万で出来るんですが…」

「そうですね。でも僕は、その金額では出来ませんよ~」

「なんで!?同じロゴなのに…」

「それは…うんぬんかんぬん」

という状況でした。

で、いろいろWEBサイトで調べてみると、ごろごろ転がってるんですよ、デザインの仕事。

ロゴから名刺から、いろんな冊子のデザインまで。


発注者も内容も大小さまざまな案件の多くはコンペ形式で、

そんでもって価格は、正直言ってべらぼうに安い。

(固い頭で、これまでのギョーカイ的に考えると、という意味で)

この低価格化や供給量の増加は、結果的にどうなの?ってことで。


社会や市場の変化を話しだすと、脱線して長ったらしくなりそうなので、

とりあえず自分たちの仕事の分野について、考えてみることにしました。

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“ざっと見ると、登録してる人は40歳以上の男性デザイナーが多いみたい。

これは、なんとなく分かる。しかし、安っすいなぁ。

あ、映画の日活の100周年ロゴは、コンペ参加152数で、選ばれて7万円か。すげえなコレ。

デザイン業の価格破壊だなんて文句言っている人もまわりにいるけれど、ま、いいんじゃね?

これはこれで。”

この仕組みで、デザインが安かろう悪かろうには、ならないと僕は思います。

供給数が増えたら単価が安くなるのは当たり前。

それを必要としているクライアントも山ほどいるはずです。

例えば、名刺を5000円でなんとか自作している人は、

外注して5万で作るのは高すぎるけど、1万ならいいかも…と考えるのは当然のことです。

というか、よくよく考えてみると、デザインの仕事の価値って、実はそんなもんかも知れない。

そんな風に、ふと思いました。

名刺でも、ロゴでも、チラシでも、販促パンフレットでも、作るもの自体に、

元々あんまり価値はないのかも知れない。

デザインだけじゃ、売れないし、流行らない。

しかも、商業デザイン・デザイナーって技術職でも職人職でもなくて。

ふたを空けたら実は、だれでも出来ましたってだけ。

言ってみれば、ずいぶん前から工業化は進んでるだな、と。

それがもっと分かりやすくなったのが、現在なんじゃないかと思います。

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工業化の前段階においては農業が主産業である場合がほとんどであるため、
農産業の資源解放(解体)が同時に進行する。
工業は、農業よりも少ない土地により多くの労働量を吸収して発展する。
さらに、工業は規格化や生産手段の高度化を行ないやすいために、
農業よりも生産性向上が早まり、農業から工業への資源配分転換を促す。

工業化(Wikipediaより引用)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E5%8C%96/

まさにその通り。

デザインの工業化が進む現代において、

僕らが名刺のデザインを1万ではなく、5万で発注してもらう為に大切なのは、、

1.  なんで5万もすんの!について、理解してもらえるように明確な説明をすること。

2.  そもそも、5万出す価値観のないクライアントには、進んでクラウドソーシングを薦めること。

3.  5万で名刺を作ろうと考えるクライアントに対しては、なぜその名刺を作るのか、

 どうやって使うのか、どんな将来価値が見込めるのか、をデザインと“合わせて提案する”こと。

この3つでしょう。

動画しかり、イラストしかり、文章しかり…プロはどこで根性見せるねんって話です。

もちろん、それ以外にも色々とありますが……詳しくは次回に続く!